本当にあった怖い話

本当にあった怖い話をまとめています

一緒がいいか?

 G県S市在住のYさんの怖い話です。

 

 私が高校2年生の時、私の家族と叔母が縁を切るきっかけになった話です。

 私には一回り歳のはなれた姉がいました。もうすぐ結婚ということもあって、姉と義理の兄は、本当に幸せそうで、父と母も安心した様子で2人を見守っていました。その頃からです。父の方の叔母が、毎晩家にくるようになったのは…。

 叔母は家にくるなり、リビングのソファに遠慮もなしにどかっと座り、自分で買ってきたお酒と酒の肴をつまみながら姉に説教を始めたのです。義理の兄への陰口悪口三昧で、父は何度もとめたのですが、叔母はやめようとしません。言いたい放題言い終わると、スッキリしたのか帰っていきます。毎晩毎晩続くので、姉も精神的にまいってしまい、義理の兄もとうとう堪忍袋の尾が切れたといった様子で、叔母の前に出ていくことになりました。

 すると叔母は、結婚がなくなってもいいのか?と詰め寄る始末。これには父も母も黙ってはいられませんでした。注意して家族みんなで家から追い出したのですが、裸足で玄関前に立つ叔母が笑いながら、

 

 死ぬなら一緒がいいか?

 

と言ったのです。私は聞き間違いかと思ったのですが、父が最後にふざけるなと叱り、玄関のドアに鍵をかけてしまいました。それ以来、叔母が家に来ることはありませんでしたが…。

 私が学校で中間テストを受けている時のことでした。事務の先生が、パタパタと廊下を走ってきて、私を呼びました。

 

 お姉さんが...。

 

 姉と義理の兄は、新居の下見をしにいった帰り、トラックの脇見運転の犠牲になり2人とも即死だったようです。病院にかけつけた時、父と母の哀しんでる姿を見た私は、哀しみよりも怒りで狂いそうになり、そのまま叔母の家に向かったのですが、叔母の家はもぬけの殻になっていたのです。唖然としました。探す手掛かりもなく、涙が溢れ出しました。

 今は父と母と私の家族皆で姉たちの成仏を願い、静かに暮らしています。叔母はどこでどうしているのか、未だに分かりません。知りたくもありませんが、もしかしたら叔母がどこからか私たちを見ているのではないか、と想像すると恐怖でしかありません。

 

 

 

 

 

 

友人が家に遊びに来た時の話です。

 

B「そう言えば、この前駅前でAのお姉ちゃんに会ったよ、お茶までご馳走になっちゃった」

A「あ、そうなんだ?」

B「今日はお姉ちゃんいないの?」

A「もうすぐ帰ってくるよ?」

B「いいなぁ、A、あんな優しそうなお姉ちゃんがいて」

A「そうかなぁ?喧嘩ばっかりだよ?」

(ガチャッとドアの開く音)

姉「ただいまぁ」

A「お帰り、早かったね」

B「お…お邪魔してます」

姉「あら?お友達?いつもAがお世話になってます。ゆっくりしていってね

B「はい」

……………………………………………。

B「ねぇ、今の…誰?」

A「え?…お姉ちゃん」

B「お姉ちゃん…2人いるの?」

A「1人だけど…」

B「この前会った人と違う人なんだけど…」

A「………。」

 

友人が駅前で会ったという私の『姉』は、

一体誰だったのでしょうか?

そしてその実の姉ではない『姉』は、

何故、私のことを実の家族のように

詳しく知っていたのでしょうか?

未だに不明です。

存在

S県S市在住のFさんが、高校生の時に経験されたというお話です。

 あれは、私が大学受験前の勉強合宿で泊まった宿舎で起こった出来事です。

  私が当時通っていた学校では、受験前に宿舎に受験生が全員で泊まり込み、昼夜、自分たちの持ち込んだ勉強道具で、徹底的に勉強をする行事がありました。ホテルの大広間を貸し切り、先生の号令で全員一斉に勉強を始めます。もちろん、先生の終わりの号令がかかるまで、生徒どうしの私語は厳禁です。それを三日三晩繰り返します。

 皆、疲労困憊といった感じではありましたが、最終日の夜だけは『明日はバスの中で寝ればいい』と、布団の中で恋愛話や先生への不満、将来はどうするのかなどの話をして盛り上がっていました。

 そこへ先生たちの見回りがやってきます。皆、寝たフリをしてやり過ごしては、またおしゃべりに夢中になっていたのですが、ふと誰かがこんな話を始めたのです。
 「来るときバスの中でK先生が言ってたんだけど、ここって…まじ出るらしいよ?」
 「うそぉ?やめてよ」
 「え!?冗談だよね?」
先生たちの外の見回りのライトのあかりが離れていくのを確認した私たちは、頭まで被っていた布団から顔を出しました。
 「その話、うそだよね?」
 「K先生の冗談だって」
 「…そうだよね、きっと。ねぇ、怖いから先生にバレないくらいの、何か明るくなるもの持ってない?」
 「携帯のライトは?」
 「いいね」
友達が携帯を取り出し、ライトで天井を照らした次の瞬間、仰向けになって天井を見て話していた私たちの声は、悲鳴へと変わっていました。

 ライトで天井に映しだされたのは、大きな男の影だったのです。私たちの足元に誰かが立っていないと、映るはずはないのですが、誰も立っていません。私たちだけでなく、他の子たちも悲鳴をあげたため、先生たちがすぐに駆けつけてくれました。何があったのか事情を話すと、携帯は没収され、『早く寝なさい、大丈夫だから。これは朝まで預かります』の一言で就寝を促されました。私たちは、正体の知れないあの影がまた見えてしまったらどうしようと、布団の中で震えながら朝を迎えることになったのですが…。

 帰りのバスの中、私たちは昨日見えたのは何だったのか、友達と静かに話をしていたちょうどその時、向かいの列に寝ていたクラスメイトが話かけてきたのです。
 「ねぇ…昨日部屋で見えたの、男の人だったよね?」
 「やっぱり見えてた?」
 「うん、男の人が私たちの布団の足元に立ってたよね?」
 「うん」
 「え!…私たち、天井に影だけ映ってるのは見えたけど、人が立ってるの見えなかったんだけど…」
 「えっ!?」

 私たちは確かにその存在を目にしていましたが、こちらの布団で寝ていた人間と向かい側で寝ていた人間の見えていた存在の不一致から、この世のものではないと確信しました。また、それ以上は誰も深く考えることはしませんでした。

 今年の勉強合宿で、また後輩の誰かが、あの存在と遭遇することになるのかもしれません。

鳴り続ける携帯

N県S市在住のTさんが、当時の勤務先で経験されたというお話です。

 アルバイトの実績を認められ、社員登用された私は、携帯電話の営業・契約の接客で充実した時間を過ごしておりました。

 その日は天気が悪かったせいもあり、お客様の出入りも少なく、『今日はゆっくりできるかな?』と考えていた矢先、一人のお客様が店内に飛び込んでこられたんです。その様子はまるで、警察に追われてかくまってくれと助けを求めている犯罪者のようでした。他の従業員に、「接客…私がいきます、他のお客様をお願いできますか?」と伝え、そのお客様のお話を伺うことになったのですが…。

 「こ、これ、あんたんとこの携帯?」とお客様から差し出された携帯は、確かに当時うちで扱っている機種のものだったため、「はい、うちで取り扱ってるものですが?」と返事をしたとたん「きっ、気持ち悪いんだよ!この携帯!!どうにかしろよ!」と何かにおびえているように仰るんです。いったん落ち着いていただこうと思い「お客様、お話を伺わせていただきますので、こちらへ」と席へご案内させていただきました。

 お客様から詳しくお伺いしたところ、その携帯はお客様、お客様のご家族様がご契約されたものでないということで、いつお客様のご自宅に誰が置いていったものか分からないと伺いました。私は『そんなばかな』と思いながら、携帯電話の番号から契約者を調べたところ、確かにその携帯電話はお客様の契約されたものではないことが分かったのですが、『この名前…どこかで…?』と、見覚えのある名前のような気がした私は、その携帯を店舗でお預かりすることにさせていただいんです。お客様は「よろしくね!あ、あと、その携帯、電源落としても鳴り続けることがあるから、持ち主取りに来るまで奥にしまって置いたほうが良いよ!」と仰って店舗を出られたんです。『バグや不良品じゃない限り、電源を落としてるんだから、携帯が鳴るわけないのに…。』

 閉店後、同僚と書類のチェックやクレーム対応の状況確認を終え、一息ついた私は例の携帯を調べることに。「Tさん、あがらないの?」と同僚に声をかけられた私は、昼間の話を聞いてもらったのですが「ボケてるんじゃないの?」と言われ、『だよね、そんなことあるはずがない』と思った次の瞬間、その携帯に非通知で着信が入ったんです。私と同僚はびっくりしたのですが、契約者様が携帯を探されてかけてきたことを考え、すぐに電話を取りました。
 
 『こぽこぽこぽ』という音が聞こえるだけで、かけてきた方とお話をするには至りませんでした。

 翌日。契約者情報を確認し、自宅へ電話をかけてみたのですが、『おかけになった電話番号は、現在使われておりません』ということで、上司へ一報を入れ、もう一度その携帯を開いた私は、自分の目を疑いました。着信が50件。『昨日、私たちが店を出てから何があったんだろう?』と持ってこられたお客様と同じように、えもいわれぬ気味の悪さを覚えたのでした。私は念のためと思い、電池パックを外して保管しておきました。

 後日、上司の指示で契約者情報を持って『落し物』として警察に預けることになりました。警察署に事情を説明し、電池パックを入れ電源が入るかどうか一緒に確認した際、画面に現れたのは『着信50件』の文字。電池パックを外していたのにと思った私は、恐怖心でいっぱいになりましたが、携帯はその場で電池パックが外され、「では、こちらでお預かりします、ありがとうございました」と言われ、ほっとした気持ちで警察署を出ることができました。

 それから半年後。上司からあの携帯は、前入居者であるご老人が自宅の浴室で溺死された際に紛失した物品だったそうで、娘さんがずっと探していたらしく、引き取りにこられたことが告げられました。いつどうやって、誰が持ち出したのかが分からず、警察に届けが出されていたため判明したそうです。同僚と一緒に、安心感で満たされました。

 久々に母の声を聞こうと思い電話をかけたのですが、怖かったけど良いことがあったと報告がてらその話しをすると、そのご老人は私が物心ついた頃、同じ団地の向かいの部屋に住んでいた人だったらしく、よくかわいがってもらったと聞かされました。『だから見たことのある名前だったんだ…。』

 今思うと、私が耳にした音は…もしかしたら、ご契約者さまが水につかっていたことを知らせたかった音だったのかもしれません。

押入れ

F県F市在住のKさんが、当時住まわれていたご自宅で経験されたというお話です。

 3人の子供に恵まれ、狭いマンションの部屋から一軒家に移り住んだ時の話です。
 荷解きを終え、自分の部屋ができたことを大喜びする子供たちの様子に、家内と喜んでいると、末娘が押入れの前で一人ぽつんと立っているので、「どうした?」と声をかけたところ、押入れを指差し「パパ、そこに男の子がいたよ?」と言うのです。「気のせいだよ、こっちへおいで」とその時は、おかしなことを言うな?と聞き流したのですが…。

 それから数日後、仕事が遅くなり夜中に帰宅した私が末娘の話を妻にそれとなく伝えてみると、昼間長女が同じ話をしていたそうで、気のせいだといい、聞き流したというのです。不動産屋からは事故物件だとかそういった類の話は、何の説明もなかったが…と、様子を見ることにしました。

 一カ月程過ぎ、そんなことがあった記憶も薄れかけてきた頃、今度は長男が男の子がいたと言い出したのですが、長女と末娘が男の子がいたと伝えてきたときとは違い、出窓の方を指差していたというのです。恐る恐る出窓のカーテンを開けて確認して見ましたが、何かがあるという訳でもなく、不安になった私は、次の休みに子供たちを連れて不動産屋に行くことにしました。

 不動産屋についた私たちは担当者を待つため、入り口そばのソファに腰をおろしていたのですが、長女が壁に貼ってあった新聞記事を指差し「お兄ちゃん!あの子!!」というので子供たちに確認したところ、電車に跳ねられ死亡した男の子だというのです。でも、その子がなぜ家に?と疑問に思った私は、不動産屋の担当者から詳しく話を聞くことにしました。

 私たちが借りた家は、その男の子の祖父母が住んでいた家であり、彼を失ったショックが大きかったご両親は遠くに移り住んでしまったらしく、祖父母の家であるあの家に彼は戻ってきたのではないか?という考えに至ったのでした。小さな子供を連れた私たちに、『危ないから気を付けて』と教えてくれていたのかもしれません。家に帰り、皆で『ありがとう』と手を合わせてから、子供たちは彼に会うことはなくなったようでした。

 転勤で、あの家を出る前にもう一度手を合わせて家を出たのですが、新しい家に向かう車中、妻の様子がおかしいことに気付き、何があったのか話を聞くと「私…見ちゃった」というのです。身体が冷たくなり、涙目になっている妻の様子はただ事ではない気がした私は、車を停め詳しく聞いてみると、

「その子が出窓の方を指差していたって、言っていたでしょ?出窓から隣のおうちの中、見えてたんだけど…男の人が天井からぶら下がってて…」

 彼が私たちに本当に知らせたかったのは…そちらの方だったのかもしれません。